「インバーター式洗濯機って壊れやすいって聞くけど、本当?」
そう思ってこの記事にたどり着いたあなたは、きっと洗濯機の購入を検討しているか、あるいは今使っている洗濯機の調子がちょっと気になり始めているところでしょう。
結論から言います。インバーター式洗濯機が「壊れやすい」というのは単純には正しくありません。 ただし、ノンインバーター式とは異なる故障のリスクポイントがあり、そこが壊れた場合の修理費用は確かに高額になる傾向があります。この記事では、実際の修理業者のデータやメーカー公表のスペックをもとに、インバーター式洗濯機の「本当のリスク」と「長持ちさせるポイント」を、ほかの記事よりも踏み込んで解説していきます。
そもそも「インバーター」って何?簡単におさらい
いきなり「インバーターの故障」と言われても、そもそもインバーターが何かよくわからないという方も多いはず。まずは簡単に整理しておきましょう。
インバーターとは、モーターの回転数を細かく制御する装置のことです。従来のノンインバーター式が「回転数が決まったパターンのみ」だったのに対し、インバーター式は洗濯物の量や汚れ具合に応じてモーターの回転をなめらかに変化させられます。
この技術によって実現する主なメリットは以下の3つです。
- 省エネ: 必要なときだけ必要なパワーで動くので、無駄な電力を使いません
- 静音: 回転の切り替えがスムーズなので、ガタンというショック音が少ない
- 洗浄力の向上: 弱回転と強回転を組み合わせた繊細な洗い方が可能になります
パナソニックの7kgクラス縦型洗濯機で比較した場合、インバーター式(NA-FA7H3)とノンインバーター式(NA-F7PB3)では、年間のランニングコストに約3,800円の差が出るという試算があります(パナソニック公式スペックをもとにしたノジマの試算、2025年1月)。つまり、長く使えば使うほどその差は広がっていくわけです。
インバーター式が「壊れやすい」と言われる本当の理由
ここからが本題です。なぜインバーター式は「壊れやすい」というイメージを持たれてしまっているのでしょうか。
その理由は、インバーター式には「精密な電子基板」という部品が搭載されているからです。モーターそのものはむしろ、回転をなめらかに制御されることで物理的な負荷が減り、長持ちする傾向があります。
しかし、その制御を司るインバーター基板は、湿度や電圧の変動に弱い電子部品の集まりです。パナソニックのドラム式洗濯機でよく報告されるエラーコード「H55」は、このインバーター回路の異常を示すものとして知られています(洗濯機修理業者「洗濯機ドクターまるひろ」の実績データによる)。
つまり、「モーターの寿命は延びたけれど、基板という新しい故障ポイントが生まれた」というのが、インバーター式洗濯機の故障に関する正確な実態です。
インバーター式の主な故障パターンと症状
では、具体的にどんなふうに故障が現れるのでしょうか。主なパターンを挙げてみます。
突然運転が止まり、エラーコードが表示される
最も多いケースです。洗濯中や脱水の途中でピタッと止まり、操作パネルに「H55」や「H□□」といったエラーコードが表示されます。電源を入れ直しても復旧しない場合は、基板の故障である可能性が高いです。
モーターが回らなくなる、または異音がする
基板ではなくモーター自体に問題が起きているケースです。とはいえ、インバーター式のモーターは負荷が少ないぶん、このパターンは比較的まれと言えるでしょう。
電源は入るが、洗濯や脱水が始まらない
制御信号が正しく伝わっていない可能性があります。これも基板か、基板とモーターをつなぐ配線系統のトラブルが考えられます。
気になる修理費用の実態
「壊れるリスク」と同じくらい気になるのが修理費用です。ここも正直にお伝えします。
インバーター基板の交換修理は、25,000円〜40,000円程度かかることが一般的です(洗濯機ドクターまるひろの実績データより)。モーターそのものを交換する場合は、さらに高くなり30,000円〜50,000円ほどを見ておいたほうがいいでしょう。
これに対して、ノンインバーター式でよくあるスイッチやセンサーの交換は1万円前後で済むことも多いです。つまり、故障したときの修理費が高いというのは、インバーター式の確かなデメリットと言えます。
では、修理するべきか、買い替えるべきか。判断の目安としては、製品の購入から7〜8年を超えている場合は、新品の購入を検討したほうが結果的に経済的なケースが多いです。修理費に数万円かけるくらいなら、新しいモデルに買い替えたほうが、保証期間や最新機能を考えてもお得です。
長持ちさせるために今すぐできる3つの習慣
故障を未然に防ぐために、今日からできることを3つ紹介します。
1. 洗濯機を置く場所の湿気を減らす
先ほども触れたように、基板は湿気に弱いです。お風呂場に近い場所や、換気が悪い場所に設置している場合は、使用後に扉を少し開けて内部の湿気を逃がすだけでも効果があります。洗濯機パンに水がたまったままになっていないかもチェックしましょう。
2. 洗濯物を詰め込みすぎない
「一回でたくさん洗いたい」という気持ちはわかりますが、詰め込みすぎはモーターや基板に過剰な負荷をかけます。取扱説明書に記載されている容量を守ることが、一番の故障予防です。これはインバーター式に限らず、すべての洗濯機に共通します。
3. 長期間使わないときはコンセントを抜く
旅行などで数日以上使わない場合は、コンセントを抜いておくのも有効です。待機電力の節約にもなりますし、雷などの電圧変動から基板を守ることにもつながります。
故障かな?と思ったら最初に取るべき行動
もしエラーコードが出て洗濯機が止まったら、まずは以下のことを試してみてください。
- 電源プラグを抜き、1分ほど待ってから再度差し込む(一時的な誤作動であれば復旧することがあります)
- 取扱説明書でエラーコードの意味を確認する(メーカー公式サイトでも確認できます)
- それでも直らない場合は、購入店またはメーカーのサポートセンターに連絡する
ここで注意したいのが、「自分で分解しようとしない」ということ。特に基板周りは感電の危険もありますし、自己修理でさらに状態を悪化させると保証対象外になることもあります。
インバーター式かノンインバーター式か、自分に合った選び方
ここまで読んで、「じゃあ結局どっちを選べばいいの?」と思われた方のために、簡単な選び方の指針をまとめておきます。
インバーター式がおすすめな人
- 静音性を重視する(マンションや夜間洗濯が多い方)
- 長期的なランニングコストを抑えたい
- 洗濯物への優しさや洗浄力の細かい調整を求める
ノンインバーター式で十分な人
- 初期費用をできるだけ抑えたい
- シンプルな構造のほうが安心(故障時の修理費が安い)
- 特に静音性を求めない(日中に洗濯をする方が多い)
インバーター式のほうが約5万円ほど高いですが(前出のパナソニック7kg縦型モデル比較)、年間約3,800円の差を考えると、10年以上使えば元が取れる計算になります。ただし、そこに修理リスクのコストがどう影響するかは、やはり運の要素も否めません。
まとめ:インバーターは「壊れやすい」ではなく「注意すべきポイントが違う」
インバーター式洗濯機は、モーター自体の耐久性が高い代わりに、制御基板という新しい故障リスクを抱えた高度な製品です。決して「壊れやすい」わけではなく、むしろ適切に使えば長寿命でコストパフォーマンスに優れています。
ただ、もし故障した場合にはノンインバーター式より修理費が高額になりがちです。だからこそ、日頃からの使い方と設置環境に気を配ることが、結果的に大きな出費を防ぐことにつながります。
この記事が、あなたの洗濯機選びや、今使っている洗濯機との付き合い方の参考になれば幸いです。何か異常を感じたら、まずは取扱説明書を見直し、それでも解決しない場合は早めにプロに相談するのが賢明です。

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